西洋インテリアの歴史〜中世編〜
紀元前から続くインテリアの歴史。大きく古代、中世、近世、近代、現代の5つに分かれます。古代は上流階級のものであったインテリア。続いての中世ではどのように変化していくのでしょうか。
ビザンチン時代
ローマ帝国が崩壊し、コンスタンティヌス帝によってビザンチンに都が移ります。ここで発達した様式で代表的なものは、ハギア・ソフィア寺院、サンマルコ寺院などです。サンマルコ寺院はイタリアのベネチアにあり、テレビなどでもよく紹介されているので、ご存知の方も多いでしょう。ちなみにハギア・ソフィア寺院はコンスタンチノーブル(イスタンブール)にあり、ビザンチンの傑作と言われています。
どちらの寺院にも、ペンデンティブドームという教会堂の平面にドームをかける様式が使われています。このペンデンティブドームはビザンチン時代に始まり,その後の建築史において重要な役割を果たすようになります。
今も残る世界遺産の中にも、このドーム型の建築様式が使われているものが多数あります。
しかしこのような大きな建築は残っているものの、家具に関してはあまり残っていないそうなのです。唯一残っているとされるのはラベンナの大司教博物館にある「マクシミアヌス司教座」というものです。象牙細工が美しく施されており、この時代の家具も同様に美しい装飾がされていたと想像されます。
モザイク作品も残されており、細部を抽象的に表現するという傾向が職人の間であったのではないかと考えられています。ビザンチンの装飾文様には、十字架、幾何学文、鳩、羊などがあり、壁画彫刻や工芸品にも多く使用されていたそうです。
ロマネスク時代
精神主義が復活し、石造建築が発達して西欧各地に新しい教会が建設されていた時代です。ビザンチンと並行して西ヨーロッパで広がりました。ピサの大聖堂が、この時代の代表的な建築物です。中世の中期、11世紀から12世紀のこの時期は、最も中世らしい時代とも言えるそうです。しかしこの時代も家具についてはあまり残っていないようで、残念ですね。
材料としては木材がメインですが、石や金属も使われました。ロマネスクの家具は、無駄な装飾が少ないことが特徴です。この時代の文様もビザンチンと同じく十字架や鳩が施されることが多く、植物の柄も多くあったようです。
家具といえばもっぱら上流階級のものであった時代から、この頃になるとギルド制によって手工業が発達し、装飾は見られないものの家具が庶民の手にも届くようになりました。
ゴシック様式
中世の最後に出てきたのが、このゴシック様式です。今でも「ゴシック調」というふうに表現するのを聞いたことがあるかもしれません。ゴシックといってもフランスとイギリスでは少し流れが違うようです。
ゴシックの建築の特徴は専門的で難しいですが、構造部分のリブボールドと尖塔アーチ、フライングバットレス(飛控え)という構造だそうです。
代表的な建築物としてはノートルダム大聖堂やケルン大聖堂が有名です。ノートルダム大聖堂にはバラ窓やステンドグラス、フランボアイヤン(火炎模様)という装飾などが使われていています。この時代はますます豪華な調度品や装飾が増えていったようです。
次は近世についてご紹介します。