”タモ”の語源には諸説あるようですが、”撓む（たわむ）”から来たという説や、巨木であるため樹霊信仰の対象となり”霊（たま）”の読みが転じてタモになったという説があります。

タモは広葉樹の中でも特に大きく成長し、最大では高さ約30m、幹の太さは80〜100cm程の巨木になります。他の木と比べて頑丈でありながらも靭性・弾力性に優れ、天然木材の家具材の代表とも言えます。力を加えても折れずにたわむ性質があり、歪みが生じにくいため曲げ加工に適しています。

木目が心材部分の深いところまで綺麗に流れているため、根元から先端まで、横断面は正円に近い形で、かつ均質な木目を取ることができます。また同じ一本の木でも、心材と辺材とでは明確に色味が異なる（心材は淡黄褐色、辺材は淡黄白色）点も、タモの大きな特徴です。

この色味の変化が年輪の木目と相まって、穏やかな表情の中にも、しっかりした雰囲気を醸し出してくれます。この欅（けやき）に似た表面で高級感がありながら、価格がそこまで高くない点も人気の要因だったのですが、ここ数年は流通が減少傾向にあり、価格はやや高騰しつつあります。

主な用途として挙げられるのは家具材を筆頭に建具材、土木材、器具材、造作材など。

木目が素直なため、シンプルなテイストのインテリアや家具に使いやすい素材です。

衝撃吸収力も優れているため、先述のバットの他にもラケット、スキー板などスポーツ用品としても愛用されています。

塗装性が良く、オイルやウレタン、漆など様々な塗装が可能です。

タモの生育地は、外国ではロシア、中国、樺太など。国内でも本州の北中部や北海道など、寒く湿った地域です。多く流通しているのは中国産、ロシア産です。

これだけ多くの人に愛され、市民権を得た木材もなかなか他にないのではないでしょうか。

タモが「白木の女王」と呼ばれる所以です。

ぜひ、タモの素晴らしさを味わってみてくださいね。